白の開拓 別館 「口で負ければそれまで 〜 議論を制する方法」 講義会場
永らくお待たせした。
いよいよ講義を行う。
ここでは私の配下である三人の人間が行った議論を採取し
議論の本質を講義したいと思う。
まずは三人の議論の様子をご覧頂きたい。
議題は
死刑制度に賛成か反対か
参加者 三名
コメタベール 29歳 男性
カオアラーウ 35歳 男性
ボールケール 40歳 男性
コメタベール:死刑に賛成か反対か。それぞれ立場を表明してくれ
カオアラーウ:賛成
ボールケール:賛成
コメタベール:俺も賛成。では
何故賛成か
カオアラーウ:誰から言うの?
コメタベール:誰でもいいが、簡潔に理由をよろしく
カオアラーウ:死刑を含むあらゆる刑罰は、
犯罪の抑止効果を得るのが目的
だから、より重い刑罰があったほうが抑止効果は強くなる。よって死刑はあったほうがいい
ボールケール:「死刑」を確定されると云う事は・・・重い重罪を犯した証拠であるから。
特に・・・性犯罪を犯した輩は
次もありうる
から・・・二度と下界に来んなっと素で思っている。ってこと賛成派
カオアラーウ:性犯罪以外は次はありえないってこと?
ボールケール:次もありうる
コメタベール:てか強姦じゃ死刑にならんが。強姦殺人ってことか?
ボールケール:後者の方。:ぶっちゃけ・・・テを出した時点で死刑判定でもいいんじゃないのって思っているわねん
カオアラーウ:さっきのボールケールの意見に対して二点疑問がある。 まず一点目。
>ボールケール:「死刑」を確定されると云う事は・・・重い重罪を犯した証拠であるから
とあるけど、命題は死刑制度の是非だから、重罪を犯した人間が死刑になる必要性の理由を言わないとだめなんじゃないか。
もう一点は
>ボールケール:特に・・・性犯罪を犯した輩は次もありうるから・
とあるけど、再犯を防止するという理由で死刑を推奨するなら、無期懲役でも十分なんじゃないか
ボールケール:そんなんでいいんじゃないの。どっちかというと・・・賛成派。でも・・・
あまり深くは考えないわ(笑)
コメタベール:じゃぁ話を変えて、現行の死刑制度の問題点について触れるか
死刑制度知らんわ。検索してみる
コメタベール:カオアラーウのを掘り下げよう。
死刑制度の抑止力について有効かどうか。無期懲役と死刑との抑止力の差異。
カオアラーウ:犯罪者が死刑にびびって犯罪を犯さなくなるかと言われると、数値的な根拠があるわけじゃないが
コメタベール:犯罪統計を用いて死刑存廃を論じるのは難しいな
カオアラーウ:ただ、模範囚やってりゃいずれ出てこれる無期懲役と違って
確実な死
が待ってるとなれば、殺人なんかは減ってもおかしくない
抑止力がないってことはないはず。そして死刑が存在することによるデメリットも別にない。だから別に死刑制度はあってもいい
コメタベール:死刑に関しては、常に
誤審の際のリスク
があるが
カオアラーウ:誤審のリスクは懲役刑にも罰金刑にも常に等しく存在する。
死刑だと取り返しがつかないっていうなら無実なのに数十年服役した人間は取り返しがついたことになるのか
そもそも
誤審で取り返しがつかないなんて言い出したら刑罰自体が成り立たない。
そこは
捜査の精度を上げる
なりして解決すべき問題だろ
コメタベール:死んだあとと生きてる間では違うやろう
カオアラーウ:死刑はその先生きるはずだった全人生を奪う。無期懲役もその先外で生きるはずだった全人生を奪う。後は程度の問題。
ボールケール:色々検索してわかったけど・・・答えがないやん。すごく難しい課題だよね 人類の課題みたいな感じ?
コメタベール:答えが出なかろうが、状態として「死刑がある世界」「死刑がない世界」のどちらかにある
ボールケール:死刑制度ができてから・・・ずっと「死刑がある世界」やん
コメタベール:死刑がない国もあるが、今死刑がない国は死刑を作ったほうがいい?
ボールケール:あったけど・・・実際は少ない(Wiki見た)
コメタベール:世界的な流れとしては廃止に動いてるけどな
ボールケール:その国の現状によるなァ。オレとして・・・なんとも言えない心情
カオアラーウ:死刑存続のメリットに比べて、死刑を廃止するメリットがそこまであるのか
ボールケール:実際は
ない
やん。死刑制度無くして・・・無期懲役ばっか増やすんか?
コメタベール:一番のメリットは、執行する人間を出さなくて済む、というところか
カオアラーウ:執行を人間の手で行わなければいい。自分で電気椅子のスイッチを押させるとか、いくらでも方法はある
ボールケール:まァ・・・いまなら全自動方式も可能だと思うけどね
コメタベール:あらかた話したか
以上で議論は終了だ。いかがだっただろうか。
この三人はまだ未熟ゆえ、議論のレベルは中の下〜中の中と言ったところか。
だが、最初はこのレベルでも私の講義を聞けば
最低でも「上の下」を保証しよう。
では引き続き講義をご清聴頂きたい。
今回は全員が賛成に回ったために、死刑制度自体の掘り下げを行うこととなった。
そも実際に起こりうる議論として賛成か反対かの二択を決するだけの議論は実は余り多くない。
交渉の場でも譲歩を引き出すポーズとして敢えて己の意にそぐわぬ選択をすることは往々にして起こりうるのだ。
つまり、重要なのは結論ではなく掘り下げ方にある。
今回は何故賛成なのか、からその理由、死刑裁定、現行制度の改善点などを洗った。
議論の始まりはまず如何にして議題を掘り下げるか、そこから自分の目的を達成するための材料をどう引き出すかが基本である。
ボールケール: 「死刑」を確定されると云う事は・・・ 重い重罪を犯した証拠であるから
特に・・・ 性犯罪を犯した輩は次もありうるから・・・ 二度 下界に来んなっと素で思っている ってこと賛成派
に対してカオアラーウは
カオアラーウ: 命題は死刑制度の是非だから、重罪を犯した人間が死刑になる必要性の理由を言わないとだめなんじゃないか
さらに
カオアラーウ: 再犯を防止するという理由で死刑を推奨するなら無期懲役でも十分なんじゃないか
と質問している。
これらに対してさらに掘り下げるのであれば、罪の重さの判断について→死刑に値する罪が存在するのかどうか。
逆にもっと軽い罪でも死刑に成り得るのかどうか。
等己の目的、ベースとなる姿勢によって掘り下げていくことが可能である。
次に現行制度の問題点について展開する。この議論録においてはこの段階で、最後に振れる執行そのもののシステムについて触れて一旦切ることを私の中で既に想定していた。
誤審についてのリスクの話において、捜査の精度の話がこれもまたキーとなりうる。議論としては論旨のすり替えはご法度であるが、交渉の場においてはそうではない。
議論は常に流動的で、自らの急所と相手の急所に成り得る部分もまた流れによって変わってくる。始めに本来の目的は異なる主題から始め、議論を誘導していく。よくある手法の1つである。
さて今回の議論録についてだが、最後に気になる部分がある。
ボールケール: 色々検索して わかったけど・・・ 答えがないやん
すごく 難しい課題だよね 人類の課題みたいな感じ? ↓ カオアラーウ: 死刑存続のメリットに比べて、死刑を廃止するメリットがそこまであるのか
ボールケール: 実際は ないやん
ボールケール: 死刑制度無くして・・・ 無期懲役ばっか 増やすんか?
答えが無いとしつつも、カオアラーウの発言から消極的にとは言え死刑制度の存続に賛成の態度を取っている。
ボールケールは議論に長けている人間ではないために、思考にブレが見られ誘導にかかりやすい危うさを持つ。
今回はそもそもが全員賛成の立場を取っているが、この発言は誘導されやすい危うさを持っている事の証でもある。。
私の講義を受けている諸賢にはこのようなブレが無いように努めて欲しいという事で、今回の講義の締めとさせていただこう。
「口」の持つ力に限界はない。
諸賢は知っているはずだ。「口」の力だけで何十万人という人間を制した「架幽」という男を。
私の講義を受け、「口」の何たるかを少しでも知って頂けると幸いだ。
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(準備中。近日公開予定)
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